2011年9月15日木曜日

モノコード

モノコード
音が出る道具が総て楽器だということはない。
音叉、風鈴、自転車のベル、お寺の鐘、半鐘、サイレン、玄関のチャイム、仏壇のリンなど、みんな音が出る。
でもこれは音が出る道具であって楽器ではない。
反対に、楽器として使った場合は、何でも楽器になる。もちろん音叉、風鈴自転車のベル・・・など、先に挙げた音の出る道具をリズムを打つために楽器として使ったら、それは楽器だ。
さらに、スプーンであっても、コップであっても、鍋の蓋であっても、石ころでも、コーヒー缶でも、家の壁でも、電信柱でも音楽を意識して叩くなら、それは楽器になる。
楽器とはなにか、「音楽を意識して音を出すもの」。音楽を意識することに定義はない。だから、世の中にある総てのもの「触ることのできるもの」、つまりハードウェアだ。ハードウェアは総て楽器になりうる。

さて、モノコード。
モノコードは楽器の能力を充分に持ち合わせているけれど、これは、楽器ではない。研究のための道具。物理の教育に使う教材、という位置づけ。
音律を既定する器具としてピタゴラスも使ったという。3:2の周波数比の関係にある音程を基にどうのこうのというピタゴラス音律は、こんな器具で研究されたのかもしれない。
一本の弦なので mono-chord なのだけれども複数本の弦を持つものもモノコードという名前で定着していたりする。複数弦の場合、本来ならポリコード(poly-chords)というべきなのだろうけどね。

もちろん、もちろん。モノコードは、音響箱があって弦を張ってあるので、即座に楽器になることができる。楽器としてなら琴の仲間(ツィター属)になる。
ハープ属の形

ハープ属の形をよくよく見ると、基本的に「L字形」をしていて、演奏する姿勢によって方向が変わっていることがわかる。
右の図は同じイラストをコピーして右へ左へクルクル回したものだ。

箜篌
箜篌は音響ボディを抱えて弾く。弦は音響ボディから下方向に向かって張られる。

サウン・ガウ
例えばサウンガウは、音響ボディが底面にある。保管する場合には安定した形だね。比較的小さなハープにこの形が多い。アフリカのハープにも、この形があったりするね。

サウン・ガウ
サウン・ガウ

西洋のハープ
グランドハープやイタリア、スペインなどでアルパと呼ばれている西洋のハープは音響ボディを抱えて弾くが、箜篌と比べると上下が逆だ。弦は音響ボディから上方向に向かって張られる。逆三角形で重心が高いので倒れなかちょっと不安。

現在のいわゆるハープにはもう一本支柱が存在する。弦を強く張るほうがいい音がでるので、だんだんと強い弦が開発され、その張力に楽器本体が耐えられるようにしたんだろうね。

アルパ
アルパ