リラは共鳴胴から2本の棒を立てて、その縦棒に横木を取り付けて弦を張ってあるハープの仲間だ。
ギリシャ神話ではヘルメスがリラを作ったとされる。
ヘルメスは岩の上をはっていた亀を見つけ、肉を喰ってしまった。その亀の甲羅に、盗んできた牛の腸を数本はり巡らした。それがリラだとか。また、次のような描写もある。ヘルメスが川のほとりを歩いていると、とてもいい音がするので「何だろう」と近づいてみると、亀の甲羅に筋がくっついていて、風に吹かれて音が出ていた。これを楽器に仕立てたのがヘルメスだという。
ギリシャ神話はともかくとしても、弦楽器としてはとても古い時代から使われている。古代ギリシャでは実際に亀の甲羅でリラが作られたようだ。
シュメール(現在のイラク・クウェートあたり)の王の墓からは角張った共鳴胴に牛の頭がデザインされたリラが発見されている。5000年も前の大昔の王様の墓だ。
またエジプトをはじめ北アフリカでもよく演奏された。アフリカでは今もリラの形状をもった楽器が実際に使われていて、エチオピアではキッサルとかクラルとか呼ばれている。
ちなみに、キッサル(kissar)はエチオピアのハープ(リラ)の仲間なんだけれども、ノルウェーでは小便のことのようだ。スウェーデンではキス(接吻)の意味になる。KissarをGoogleの翻訳で調べていると判明した。