2022年1月10日月曜日

マルハナバチという名の楽器

スウェディッシュ ヒュンメル

Swedish hummel

スウェディッシュ ヒュンメル Swedish hummel
ヨーロッパ北部には、音響箱に多数の弦を張った弦楽器が多種多様存在する。ドイツでは 映画「第三の男」で有名な チター zither があり、この形状の楽器を総称してチター属として分類することがある。

ヒュンメルは、スウェーデンでは1600年代後半には使われていたという。
フレットが配置された手前の弦でメロディを弾く。単純な調律で張られているので複雑な和音は得意ではない。
フレットが無い部分の弦は、共鳴させて響かせるための弦(ドローン弦)。
古い楽器なので現在ではほとんど使われていないが、楽器を復活させ一部の愛好家では演奏されている。
Swedish-hummel
12平均律のフレットを備え、弦の数を増やした
モダンなヒュンメル

ちなみに、この楽器の名前 hummel というのは、マルハナバチという蜂のこと。ドローン弦が響く音からきている。
マルハナバチは世界中に棲息するが、ヨーロッパでは特に身近な蜂で、牧草の主力の一つであるアカツメクサなどの花粉を運ぶ虫として、重視され、親近感が強いらしい。
ドイツには Hummelchen というバグパイプがあるが、これもやはり蜂の羽音から付けられた名前なんだろう。
さらに蛇足が続くが、デンマークには hummel という スポーツ用品メーカーがあり、これもマルハナバチの意味を持つ社名なんだね。


ハープ属の形

ハープ属の形をよくよく見ると、基本的に「L字形」をしていて、演奏する姿勢によって方向が変わっていることがわかる。
右の図は同じイラストをコピーして右へ左へクルクル回したものだ。

箜篌
箜篌は音響ボディを抱えて弾く。弦は音響ボディから下方向に向かって張られる。

サウン・ガウ
例えばサウンガウは、音響ボディが底面にある。保管する場合には安定した形だね。比較的小さなハープにこの形が多い。アフリカのハープにも、この形があったりするね。

サウン・ガウ
サウン・ガウ

西洋のハープ
グランドハープやイタリア、スペインなどでアルパと呼ばれている西洋のハープは音響ボディを抱えて弾くが、箜篌と比べると上下が逆だ。弦は音響ボディから上方向に向かって張られる。逆三角形で重心が高いので倒れなかちょっと不安。

現在のいわゆるハープにはもう一本支柱が存在する。弦を強く張るほうがいい音がでるので、だんだんと強い弦が開発され、その張力に楽器本体が耐えられるようにしたんだろうね。

アルパ
アルパ