2010年9月20日月曜日

サウン・ガウ

サウン・ガウ
小説「ビルマの竪琴」に出てくる楽器だ。
膝の上に抱きかかえるようにして、右手で弦をはじく。左手は、弦を押さえてミュートを効かせながら音程を変える。
横置きで、棹がくるんと湾曲しているので、とても特徴的的な外観。湾曲した棹はアカシアの仲間の木の根っ子だそうだ。16本の弦は絹糸で棹に紐で留められている。

「コツ」と言ってしまえばそれまでだけれども、サウン・ガウの演奏は楽譜で伝えることなんかできないだろう。強さ、弱さ。微妙な音程。響かせる、響かせない。
メトロノームのように算術的なリズムではなく、脳みそから背骨のあたりで刻んでいる弱くも微妙な躍動を指先に託す。決して電子楽器では表現できない音の術があるんだろう。

中国の箜篌は古代アッシリア、ペルシアあたりから伝来したとあるが、サウン・ガウもインドを経由して伝わり、ビルマ(ミャンマー)の宮廷で使われるようになったのではないだろうか。演奏時の構え方や、楽器そのものの大きさは違うけれども、二つの楽器は基本的な構造がとてもよく似ている。
ハープ属の形

ハープ属の形をよくよく見ると、基本的に「L字形」をしていて、演奏する姿勢によって方向が変わっていることがわかる。
右の図は同じイラストをコピーして右へ左へクルクル回したものだ。

箜篌
箜篌は音響ボディを抱えて弾く。弦は音響ボディから下方向に向かって張られる。

サウン・ガウ
例えばサウンガウは、音響ボディが底面にある。保管する場合には安定した形だね。比較的小さなハープにこの形が多い。アフリカのハープにも、この形があったりするね。

サウン・ガウ
サウン・ガウ

西洋のハープ
グランドハープやイタリア、スペインなどでアルパと呼ばれている西洋のハープは音響ボディを抱えて弾くが、箜篌と比べると上下が逆だ。弦は音響ボディから上方向に向かって張られる。逆三角形で重心が高いので倒れなかちょっと不安。

現在のいわゆるハープにはもう一本支柱が存在する。弦を強く張るほうがいい音がでるので、だんだんと強い弦が開発され、その張力に楽器本体が耐えられるようにしたんだろうね。

アルパ
アルパ