小説「ビルマの竪琴」に出てくる楽器だ。
膝の上に抱きかかえるようにして、右手で弦をはじく。左手は、弦を押さえてミュートを効かせながら音程を変える。
横置きで、棹がくるんと湾曲しているので、とても特徴的的な外観。湾曲した棹はアカシアの仲間の木の根っ子だそうだ。16本の弦は絹糸で棹に紐で留められている。
「コツ」と言ってしまえばそれまでだけれども、サウン・ガウの演奏は楽譜で伝えることなんかできないだろう。強さ、弱さ。微妙な音程。響かせる、響かせない。
メトロノームのように算術的なリズムではなく、脳みそから背骨のあたりで刻んでいる弱くも微妙な躍動を指先に託す。決して電子楽器では表現できない音の術があるんだろう。
中国の箜篌は古代アッシリア、ペルシアあたりから伝来したとあるが、サウン・ガウもインドを経由して伝わり、ビルマ(ミャンマー)の宮廷で使われるようになったのではないだろうか。演奏時の構え方や、楽器そのものの大きさは違うけれども、二つの楽器は基本的な構造がとてもよく似ている。