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2019年10月15日火曜日

トンコリ

トンコリは、樺太や北海道に住むアイヌ民族の伝統的な楽器。
トンコリ tonkori を演奏する女性のイラスト

細長い胴体に5本の弦*を調律する糸巻きがついている。胴体の表面中心部には小さなサウンドホール(へそと呼ばれているらしい)があり、その穴から魂を意味するガラス玉を入れているという。

伝統的なトンコリの弦は、植物の繊維や動物の腱を加工したものが使われていたようだが、現在では三味線や琴の弦を張ってある。
弦を押さえ込んで音を変えるという奏法はなく、オープンのチューニングではじく。

楽器としての表現能力は、現在の弦楽器に比べれば低いかもしれない。だけど、糸倉、ナット、ブリッジの構造は最新の楽器でも採用されている。
この高度な調律の仕組みや音響的構造は、とても単独民族だけのアイデアで生まれるものではないだろう。いったいどこから伝承してきたのだろう。
古い古いトンコリは細長い木箱の端から端まで鹿の腱を張っただけの構造だったのかもしれない。謎だね。

*5本の弦が一般的であるが、3本~6本の楽器も存在していた。