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2016年10月13日木曜日

アジアの東 ... 細長い弦楽器

アジアには太い竹を音響胴にして弦をはった楽器は現在でも存在する。
太古の昔、そんな楽器から発展したのがこれらの一連の弦楽器なのかもしれない。遠く西の国からの製法技術や楽曲文化も影響したかもしれない。弦の材質は絹糸だったが、金属弦を採用する楽器も現れてきた。
どんな歴史的経緯があったのか、その詳細は分からないにしても、アジアの東部には独特の弦楽器・・・長方形の箱に複数の弦を張った楽器が数多く存在する。英語では long zither と呼ばれることもある。



そう(筝)
日本の伝統的な弦楽器・・・ とはいうものの、もっと古くは中国の楽器で日本独自に発展したもの。左手の操作で音程を変化させる方法も受け継いでいる。
弦の数は13本が標準。
「琴」という漢字を当てることが多いが「筝」と書くほうが正しい。琴は弦の中間部にブリッジが無く、弦の長さを指で押さえることによって変化させる楽器を指す。でも、弦楽器の総称として琴の字を当てることもあるので琴でも別にかまわないんだろうけど。
そう(筝)
そう(筝)


グーチェン(古筝 Guzheng)
中国の伝統的な弦楽器。弦の数は21本が標準。
張った弦の中間部にブリッジが配置されているので、その構造から独特の演奏方法がある。

  • 按(ベンディング・チョーキング)弦を押さえて弦の張りを強くして音程を上げる。
  • 顫(ビブラート)小刻みに音程を変える。
  • 推(ポルタメント)ある音から異なる音へなめらかに変化させる。

以上のテクニックは、古筝から派生したと思われる多くの楽器に受け継がれている。

古くより中国全域に普及しただけでなく、北はモンゴル、南はベトナム、東は朝鮮半島や日本にも伝わった。
グーチェン(古筝 Guzheng)
グーチェン (古筝)


グーチン(古琴 Guqin)
中国の伝統的な弦楽器で紀元前から使われていたという。弦は7本で、七弦琴とも。
弦を押さえて音程を変化させるので「筝」とは区別される。ブリッジが無いので、それぞれ音の高さを整えるために弦(絹糸)の太さはそれぞれ異なる。
弦長を変える奏法なので、弦を押さえる位置と音程の関係を示すための 徽(き)と呼ばれるポジションマークがついている。
膝の上や机の上に載せて演奏するのが一般的なようだが、立てて演奏する絵もあったりするのでチェロやコントラバスみたいな構え方もあったようだ。
グーチン(古琴 Guqin)
グーチン (古琴)
古琴演奏技は、2003年、ユネスコの無形文化遺産保護条約に基づく「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に掲載され、2009年9月に無形文化遺産として正式登録された(wikipediaより引用)


カヤグム(가야금 伽耶琴 Gayageum)
韓国の伝統的な弦楽器。日本では「かやきん」と読む。また、平安時代には日本にも伝わり新羅琴(しらぎごと)とも呼ばれていた。
筝ではなく琴の字を当てているが、弦楽器の総称としての「琴」を当てているのだろう。
弦は12本で年12ヵ月を表しているのだそう。義甲(フィンガーピック)は使わず、素手で弾く。
カヤグム 가야금 伽耶琴 Gayageum
カヤグム (가야금 伽耶琴)


コムンゴ(거문고 玄琴 Geomungo)
韓国の伝統的な弦楽器で、弦は6本。
背の高いフレットが並んでいるのが特徴。また、20cmくらいのスティック(スルテと言うらしい)で弦をはじいたリ、叩いたりして音を出すのも珍しい演奏方法だ。
コムンゴ 거문고 玄琴 Geomungo
コムンゴ (거문고 玄琴)


ダンチャン(彈箏 / Dan tranh)
ベトナムの弦楽器。弦は14本~16本で、現在では16本弦が普及している。
ダンチャン 彈箏 Dan tranh
ダンチャン(彈箏 / Dan tranh)


ヤトガ(Yatga / Yatug)
モンゴルの弦楽器。弦はそれぞれの時代で統一されていなかったが、現在では13本弦が普及している。
ヤトガ Yatga / Yatug
ヤトガ(Yatga / Yatug)