指板に弦を押し付けるのではなく、弦に棒を押し当てて(接触させて)弦が振動する長さを変えていく。この棒はスライドバーと呼ばれている。ただし 棒ではなく玉だったりもする。また、当初ガラスビンの首の部分を切り取って使ったことにより「ボトルネック」などとも呼ばれる。そして、この演奏方法を「スライド奏法」とか「ボトルネック奏法」と呼ぶ。実際にビンの首を使うことはそんなにないだろうけどね。
スライドバーは、弦の振動に負けないように金属やガラスなど少々重いもののほうがよさそうだ。指にはめたり、手でにぎったりして使う。
振動させる弦長を自由に変えられるので、なめらかに音程を変えるグリッサンドや、大胆なビブラートも可能。単音だけではなく複数の音、つまり和音(コード)全体にグリッサンドやビブラートがかけられる。
一般的なギターでもスライド奏法は可能であるが、指板と弦の隙間を高くした専用の楽器のほうが扱いやすい。扱いやすいとはいっても演奏技術は安易ではない。他人に聴かせるまでになるには、ちょっとやそっとの練習では無理。根性をこめて修練に励まなければならない。
演奏方法も出てくる音もアナログ的であるため、単に技術的な腕前だけでなく、感性とか表現力とか、そんなアーティスト、アーティストした部分が磨かれている必要があるようだ。
スチール・ギター
スチール・ギター steel guitar |
ギターの名を持つものの、これはいわゆるギターではない、弦は6本以上あるのが普通で、ペダルスチール・ギターは 足元のペダルで弦の張り強さを演奏中にでも変えることができる機構が備わっている。
リゾネーター・ギター
リゾネーター・ギター resonator guitar |
スライド・バー奏法だけに特化するのであれば、ネックを握って演奏するわけではないので、ギターの形をしている必要はないのだけれども、スライド・バーでの演奏はギター(もしくはギターみたいな楽器)から生まれたのだろうから、その形を踏襲しているわけだろうね。
インドにもスライド奏法の楽器
ビチトラ・ヴィーナ vichitra veena |
モハン・ヴィーナ mohan veena |
インドの楽器。数あるビーナの中で、スライド奏法専用が、このビチトラ・ヴィーナ。スライドさせる道具は棒ではなくて玉だ。
モハン・ヴィーナ
インドにはモハン・ヴィーナという楽器もある。ヴィーナという名がついているのだけれども伝統的なものではなく比較的新しく作られた楽器。リゾネーター・ギターにヒントを得たのだろうね。見た目はギターの形をしているが、メロディ弦の他に共鳴弦がいっぱい張り巡らされているのはインドらしいところ。
八雲琴
八雲琴 やくもごと |