2019年1月20日日曜日

弦を叩いて音を出す

弦をスティックでたたいて音を出す楽器。
ピアノの祖先だという記述をよく見かける。なるほど、そうかもしれない。でもそんなに単純なものでもないだろう。
弦を たたくという点ではピアノと同じなんだけど、ハープシコードの存在を抜きにしてはならない。ハープシコードは鍵盤を備えていて「弦をはじく構造」。これを「弦をたたく構造」に改良したのがピアノだといえる。
音程の違う複数の弦をたたくという そもそもの発想は、古い歴史があるサントゥールなどからきている。だから、発音する仕組みだけをとらまえて見ると、これらの打弦楽器はピアノの祖先といえるのかもしれない。
サントゥール Santur
サントゥール Santur(ペルシャ)
ペルシャ(現在のイラン)で使われ始めた打弦楽器。これが、以下に紹介する各地域に伝わって行った。


サントゥール Santoor
サントゥール Santoor(インド)

ハックブレット Hackbrett
ハックブレット Hackbrett(ヨーロッパ)

ヤンチン Yang qin
ヤンチン Yang qin(中国)

ヤングム Yang geum
ヤングム Yang geum(朝鮮半島)

キム Khim
キム Khim(タイ・カンボジア)

ちなみに、弦をたたいて音を出すといえば、ピアノより古いクラビコードという楽器がある。
クラビコードは 弦の長さを変えつつ弦をたたくという独特の構造を持っている。詳しくは私家版楽器事典を見てちょうだい。

ハープ属の形

ハープ属の形をよくよく見ると、基本的に「L字形」をしていて、演奏する姿勢によって方向が変わっていることがわかる。
右の図は同じイラストをコピーして右へ左へクルクル回したものだ。

箜篌
箜篌は音響ボディを抱えて弾く。弦は音響ボディから下方向に向かって張られる。

サウン・ガウ
例えばサウンガウは、音響ボディが底面にある。保管する場合には安定した形だね。比較的小さなハープにこの形が多い。アフリカのハープにも、この形があったりするね。

サウン・ガウ
サウン・ガウ

西洋のハープ
グランドハープやイタリア、スペインなどでアルパと呼ばれている西洋のハープは音響ボディを抱えて弾くが、箜篌と比べると上下が逆だ。弦は音響ボディから上方向に向かって張られる。逆三角形で重心が高いので倒れなかちょっと不安。

現在のいわゆるハープにはもう一本支柱が存在する。弦を強く張るほうがいい音がでるので、だんだんと強い弦が開発され、その張力に楽器本体が耐えられるようにしたんだろうね。

アルパ
アルパ